憧れを求めて

先週末を使ってイタリアのフェラーラという町へ行って来ました。この計画が決まったのも旅に出る3日前。笑 まさに思い立ったら行動!です。

目的はピアニスト、ダニイル・トリフォノフ氏(Daniil Trifonov)に会う為。そして彼のコンサートを自分の耳で生で聴く為でした。それから彼にいろいろと個人的にお願いいたい事があり、イタリアまで飛んで行きました。ダニイル君と言えば、世間では大騒ぎの今をときめくピアニスト。彼の人柄と演奏に直に触れて益々私もファンになりました。私は何故かピアニストの話題にこのブログで触れる事が多いので、有難い事に沢山のピアニストファンの方がご覧になっていると思いますので、まずは、旅程通りに報告致します。

5月28日、夜遅くに飛行機でパリを発ちました。
イタリアのボローニャに着陸し、すでに日にちが変わっていたかな・・・

この日は空港近くのホテルに滞在。


29日
いよいよDaniil君の本番の日。
フェラーラという田舎町の美術館で行われたコンサートで事前にサイトをチェックしても時間など詳細が載っていなかったのでとりあえず、午前中のうちに美術館に行って確認。夜18時開演、料金4ユーロ、学生無料(安すぎる!)という事でしばし、街中を見学。話す内容を確認しながらジェラードを食べたり?ホテルに帰ったりして時間を潰す。早めにホテルを出て会場に向かったらやっぱり早く着きすぎたらしく、うろうろ・・・。
遠くからダニイル君がオーがニゼの方とこちらに歩いてくる事が分かりテンション急上昇、私のとてつもない笑顔にオーガニゼの方が、知り合いだと勘違いしてハグされる。笑
私もその気になり「は~い」( ^^)とか適当な英語で自己紹介して何故かDaniil君とも少し会話。

以下、肝心のコンサート内容です。

まず、ショパンのエチュード全曲40分間弾ききりました。Daniil君が一音、音を出した瞬間に、何と言葉で表現したら良い物か・・・一瞬のうちに魂を奪われました。まるで頭をゴーンと殴られたような衝撃で。今まではインターネットの動画をショパコンやルビコンのアーカイブを見て心を奪われていましたが、今度は目の前に、そして音楽ホールでは無く、ほどほどデッドな場所で至近距離で彼の表情や音楽の仕掛け方、指、全て、直に感じられたのが本当に貴重な機会でした。動画では100分の1しか彼を理解出来ません!

第一印象「音大きい!」と思ったのですが、よくよく考えてみるとDaniil君を今まで動画で見てた印象ではそんなイメージよりも軽やかで美音の持ち主。というイメージだったのですが・・・そしたらルーカスはどれだけ音大きいの?単純に大きいというよりその一音に圧倒的な存在感があったという事。例えPの時でもきらきらとした音がそこに立体的にある。そして音楽が常にあって、どの音もプレゾンテをしている。当たり前の様で、出来て居ない人は多い。どの楽器の演奏家も共通して言えるのが、その一音出した瞬間にはっとさせられる、そんな奏者が結局のところ心に残る人なのかな、と改めて思いました。例えは全然違うけれど、のだめがルイと千秋のラヴェルのコンチェルトを聴いて自分のやりたい事、いやそれ以上の事を簡単にしてくれちゃったな。と思った気持ちが分かりました。本当に状況は全然違うのですが・・・

二曲目は本来ならば、F.schubert-F.lisztのFruhlinglaube,Barcarole,Die Forelleでしたが急遽曲目変更でTchaikovskyのun poco di chopinを。チャイコフスキーコンクールに向けての為でしょう。メランコリックな感じがたまらなく良く・・・最後にF.LisztのMephist Valse。これはルビコンでもお馴染のレパートリーでしたね。相変わらず魔物が降りて来ておりました。目が飛んでいっちゃう位見開いていた・・・終演後は勿論ブラボーの嵐。田舎町なので殆どは地元のお客様ばかり、彼の演奏を初めて聴く方も多く、終演後の雑談は絶えませんでした。アンコールは例によってカンパネラとタランテラ。やっぱりDaniilはタランテラ、ピカイチだなぁと感心しつつ終了。なんとも言えない充実感と感動の嵐で暫く呆然とするも、彼といろいろと話したい事があったので、早速Daniilの元へ。しかし、人だかりが凄く、最後に待っていようと思い、しばし、オーガニゼのおじさんと雑談。私が「パリから彼に会いに来ました。」と言ったら皆びっくりして、いろいろな人に話しかけられました。Daniil君にもおじさんたちが「彼女、パリから来たんだって」と言って彼も少し驚いていました。イタリアの方はとっても親切できさくで、いつもイタリアに来ると思うのですが、フランス人と全然気質が違うなぁ。と。私はどうやらイタリアの方が合っているみたいです。お客様の中に一人日本人の女性がいらっしゃていてイタリアで歌を勉強されている方でした。少しお話させて頂いたのですがとても親切な方でした。私はいつも海外に行くと私より少し年上の日本人女性に出会い、彼女たちはいつも親切でとても感じが良いのです。そして素敵な彼がいます。今回も同様、不思議な体験・・・おじさんの話によると、Daniilがルビコンで優勝した後、ロシアから彼のピアノの先生がいらっしゃってたようです。という事はTatiana Zelikmanさん?と私、挨拶しました。笑 適当な英語でやりくりしていたのでもし、この内容違ってたらごめんなさい。

そして肝心のDaniil君にお願いしたい事があったので、話したら笑顔で受け答えしてくれて本当にありがたかったです。内容は今のところ内密にさせて下さい。今年の冬にお披露目出来るかもしれません。毎日今はイスラエルでコンサート。考えるだけでぞっとする・・・。なのにあのタフさ。20歳。彼は全然疲れていなかった言えば嘘かもしれません。人間ですから、チャイコフスキーコンクールも控えていて、さぞかし大変だろうと思います。でもいつも思い出すのは「自分はいつもやりたいからやる。そしていつも自分で決める。自分がやる事は全部自分で決めてきた。これからもずっとそう。」と雑誌のインタビューで答えていた言葉。きっとやりたいんだろうな。その先にある事の方がもっとやりたい事なのかも。それを彼は知っているから?それがもしかしたら一番楽しいかもしれない事だって事を・・・?
とにかく体には気をつけてね。もうね、本当に、それだけ!最後に「Thank you!!!」と爽やかに言って去って彼は行きました。

30日はボローニャを少し観光しようと思いましたが、まるで頭がついていかず。はっきり言って全く、興味がありませんでした。演奏の衝撃が強すぎて、私にとっては美味しい食べ物も歴史的建造物もどうでも良い物に思えたのです。全ての欲が無くなりました。結局音楽の事だけ考えて帰路に着きました。

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プロフィール

塙美里

Author:塙美里
塙美里(サクソフォン)茨城県出身 

高度な技術を伴い、謙虚なひたむきさと情熱を持つ先進的なコンサートサクソフォニスト。2007年前田記念奨学生奨学金を授与され渡仏。2008年U.F.A.M国際音楽コンクール室内楽部門を審査員全員一致の第1位で優勝。(フランス)併せて審査員特別賞受賞。2011年レオポルド・ベラン国際音楽コンクール第1位受賞。2010年第8回パドパ国際音楽コンクールヴィルトゥオーゾ部門ディプロム取得。(イタリア)2011年第3回スタンジェル国際音楽コンクール第3位受賞。(スロベニア)その他、海外の様々なコンクールで入賞。フランス国立セルジー・ポントワーズ音楽院をサクソフォン科、室内楽科、共に最優秀の成績で卒業。カンブレ音楽院最高課程を審査員満場一致の称賛付きの首席で卒業。パリ13区モーリス・ラヴェル音楽院室内楽科で研鑽を積む。2010年にカンブレ音楽院教授ジュリアン・プティ氏の助手を務める。これまでにサクソフォンを原博巳、ジャン=イヴ・フルモー、ジュリアン・プティ、クリスチャン・ヴィルトゥ、ベアトリス・レイベル女史の各氏に師事。



その独特の煌びやかな音色と独創的な音楽性で国内外のリサイタルは満員の会場を湧かせている。所有するレパートリーは計り知れない。 ダニール・トリフォノフ氏(2011年チャイコフスキー国際コンクール優勝、グランプリ受賞)、フランス人作曲家A.ナルボーニ氏による日本初演作品を発表。現田茂夫氏指揮、日本センチュリー交響楽団とJ・イベールの協奏曲を大阪ザ・シンフォニーホールにて共演。ウィーンフィルの拠点の楽友協会にて現地のオーケストラとサンサーンスの序奏とロンド・カプリチオーソを共演。NHK-FMリサイタル・ノヴァ、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンに出演。アメリカ、ヨーロッパ各地、アジア各国でソロ・リサイタルを開催。

現在、尚美ミュージックカレッジ専門学校コンセルヴァトアールディプロマ科講師。





2014年10月にオクタヴィアレコードより待望のデビュー・アルバム「エディット・ピアフを讃えて」をリリース。(世界初録音収録曲有り)発売日に予定枚数を完売し大きな話題を呼んだ。

塙美里公式ホームページ
http://misatosax.wix.com/misatosax-
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